どうも、麦酒男です。
去る 1月30日、日本で一番、ビールの飲める街・渋谷において
「クラフトビール大研究」と銘打ったイベントが開催されました。
このイベントは2部構成になっていて、
第一部はクラフトビールを取り扱っているフリーペーパー
“ジャパンビアタイムズ”の編集長・ライ・ベヴィル氏による講演、
そして第二部はクラフトビール業界に関わるいろいろな方による
パネルディスカッションが行われました。
今日から2日間はその様子をまとめたものを更新したいと思います。
まずはジャパンビアタイムズの編集長・ライ氏による講演、
「クラフトビールの魅力と今後」を書き起こしました。
あくまでも僕というフィルターを通しての内容なので、
そのままではありませんが、意味としては間違っていないと思います。
ちょっと長いですが、ぜひ読んでみてください。
==ここから==
クラフトビールは、単に飲むだけではなく、
いろいろなスタイルや種類があり、また、
それぞれにアイデンティティも楽しめます。
さらに、飲んだことや興味をブログやTwitterで発信すれば
友だちができたりもします。ビールが果たしてきた役割は、
栄養補給だけではないと思います。
ピラミッドを建設中の人たちが、ご褒美にビールをもらい、
酔いどれになって帰ったことを想像してみましょう。
ビールは社会的な飲み物だと思えます。
酔うことで、陽気に語り、互いに笑い、
人間関係が深まっていくこともありますよね。
ビールが人と人の絆をつくってきました。
ビールをひとりだけで飲むというのは、少数派ではないでしょうか?
ビールが造られるようになってからは、みんなでビールを飲むために
たくさんの建物やイベントが作られてきました。
その他にも宗教的なイベントでもビールが飲まれてきました。
ビールは大昔から、人の交流において重要な役割を果たしてきたといえます。
工業化以前のビアホールは情報交換の場や
ゲームを楽しむ場にもなっていました。
売春は世界最古の職業と言われているが
これにもビールが大きな役割を担っていたことと思います。
(タカバシ注:おそらくここは笑うところだったと思うんだけど、
会場はいたって真面目に聞いていました…)
近年の工業化により、ビールの品質が下がったということはなく、
逆に先端技術により品質は向上しました。
が、問題は資本主義によってもたらされたのです。
利益の追求が、品質を犠牲にしてまで行われてきました。
その結果、ビールの品質が落ち、社会的な役割も失いつつあるのが、
現状の問題だと考えています。
大手メーカーには、ビール本来の楽しみや交流をもっと広めてほしい。
TVCMで、タレントがゴクゴク飲むだけのものではなく、
みんなで楽しむものだということを訴求してほしいです。
▼ライ氏が良い例として挙げたCM
近年、イギリスではリアルエール復興の動きがあり、
アメリカではマイクロブルワリーが拡大しています。
消費者が大手メーカーの貧弱なビールに飽きていたのか、
選択肢が増えたことを喜び、個人の志向にあったビールが出てきたのです。
それらのビールを求める人は、単純な消費者から愛好家になりました。
アメリカでは、主要都市で毎年ビアフェスが行われ、
かつての社交性を取り戻しています。
クラフトビールは人々の絆、結びつきを強める力を持っています。
人間は社会的な生き物なので、お互いの結びつきを深めてくれるビールは
これからも価値があるものだと思います。
さて、2012年は日本のクラフトビールにとって大きな年になりそうです。
これからドラマティックなことが起ころうとしています。
欧米では大手メーカーへの反発としてクラフトビールが広がりましたが、
日本は規制緩和によって生まれました。
生まれた当時は、お土産ビールが多く、品質よりも
いかに地元の特産品として売り出すかが大事でした。
その結果、低品質という認識が強まり、それが自分たちの首をしめ、
世間の悪いイメージが定着してしまいました。
幸いにもそれは改善してきました。地元だけで売れるのではなく、
高品質なものが増えてきました。
地ビールではなく、クラフトビールを作っている、と
訓示した小江戸ビール社長。そして、ベアードビールも小江戸ビールも
地元の特産品を使いながら、世界の賞をとったことはとても興味深いことです。
私は、地ビールではなく、クラフトビールという呼び方を提案したい。
このことが、意識を変えて行くのでは?と考えています。
名前を変えることは重要ではないが、手作りであるという
印象が強まるのではないかと考えています。
工業製品ではなく、ひとりひとりの職人が作っているということを
知ってもらうことが大事だと思います。
日本のクラフトビールメーカー同士の情報交換については
頻度も深さも足りないと感じています。
わからないことがあれば、他の人に聞いて、
さらに高みを目指すのがブルワーの責任です。
ビアフェスに足を運べば、情報交換の場はいくらでもあるはずです。
これからは、クラフトビールを出すお店が増えるでしょう。
ほとんど毎週、日本のどこかでクラフトビールが飲める場所が増えています。
普通のピザ屋さんや焼き鳥屋さんがクラフトビールを扱うということも
出てきています。保守的だと思われている京都でも、
美味しい料理に合わせて美味しいビールが飲めるお店も増えてきました。
そこで一般の人がクラフトビールと出会えば素敵ですよね。
クラフトビールフェスタも増えてきました。
日本の大都市では、だいたい行われているが、そこでイベントの責任者が
各地域のお店を招待して、クラフトビールを知ってもらうことも必要だと思います。
クラフトビールと何かを合わせてイベントにして
お客さんを喜ばせてもいいと思います。
今後のことについて…
クラフトビールは高い。これは税金が高くてしょうがないと思う。
ただし、今年は値段が下がると思います。
なぜなら消費者がリーズナブルなものを選ぶから、
そういう流れになるのではないかと。
税金を減らそうという運動はありますが、減らないんじゃないかと思います。
そして、インポートビールがどんどん増えると思います。
海外の質の高いビールが日本のビールにインスパイアをくれるでしょう。
さらには、メディアでも多く取り上げられたり、ビールの世界的な品評会で
日本のクラフトビールが世界一になるかもしれませんね。
==ここまで==
ビールは飲むだけではなく、人を繋げるものだということ。
そして、それを造っているのは職人だということ。
ビールの楽しさは“人”なんですよね。
ということで、第二部はビールに関わる人たち、
9人によるパネルディスカッションが行われました。