どうも、麦酒男です。
名古屋のアガベスピリッツギャラリー「KIN’EMON」に行った時に買ってきたメスカルのセットがあります。オリジナルでセット販売されていた「LA MEDIDA(ラ メディダ) メスカル基本セット(6種類)」です。
ちょっとずつ飲み比べを行っていたんですが、やっと全部を飲み終えたので、ご紹介したいと思います。が、まずはメスカルについての基礎知識から…
メスカルとは?
メスカルについて、いくつかの決まりがあるのでご紹介します。
❶ 200種類以上あるアガベ(メキシコではマゲイと呼ばれています ※注)の中で原材料として使われるアガベの指定はない。
❷ 原産地呼称で保護されたメキシコの指定産地9州で育成したアガベを使用し、製造・蒸留したものである。
❸ 原材料は100%アガベのみだが、数種類のアガベをブレンドすることができる。その場合、ラベルに配合の多い順番からアガベの種類を記載する。
❹ 蒸留回数の規定はない。
❺ アルコール度数は35%〜55%である。
❻メタノールの値は3mg/ml以下である。
❼ ボトルに、CRMの認証を得たメーカー、ブランド毎の13桁の数字とアルファベットから成る番号が記載されたホログラム(holograma)を添付する。
(メスカルの主要規則/テキーラジャーナルより)
アガベは学名での区分になりますが、アガベにもいくつかの亜種があり、メキシコではその亜種も区別されています。マゲイは生産者が使う一般名で、亜種に関しても個別に名称があるので、マゲイと言った方が細かな品種までフォローできるというのが個人的な認識です。学名のあるアガベが40種類くらい、マゲイになると200種類以上、かな? 魚の鰤(ぶり)は学名を「Seriola quinqueradiata」と言いますが、ハマチもイナダも学名は一緒です。でも、成長度合いや地域によって名前が変わります… そんな感じでしょうか。
テキーラとの一番の違いは「原材料として使われるのはブルーアガベじゃなくてもいい」ということでしょうか。今回の6種類セットは、6つの異なるマゲイが楽しめる&飲み比べができるセットなんですね。メスカルも熟成でクラスが変わりますが、この6本はどれもホベン(joven)と呼ばれる熟成期間が0〜2ヶ月未満のものになります。つまり、マゲイの違いがわかる飲み比べになるかな、と。
ひとつだけ大きなボトルのものは「エスパディン」というマゲイを使ったもので、スタンダードなマゲイなんだとか(エスパディンはほぼ栽培で作られていて、他のマゲイは野生、もしくは半野生のものが多いとか)。ということで、エスパディンを軸に飲み比べをしてみました。
エスパディンを軸に飲み比べ
まずは基本(?)のエスパディンからいただいてみます。飲むとメスカルらしいスモーキーな香りを感じます。が、甘さは控えめでしょうか。アルコールがややピリッとする感じもあります。
公式サイトの紹介は以下の通りです。
シトラス感と高い糖度を持った… 感じられなかったかも… かなり自分の味覚に不安を感じますが、このエスパディンを軸に飲み比べをして行こうと思います。
Tepeztate(テペスタテ)
青っぽい、草っぽい香りを感じます。田舎的な匂いも若干感じます。飲んでみると、古民家のような、カビというか古い香りを感じるが、ピリッとした舌触りはなく飲みやすいとも言えます。ただ、エスパディンの方が好みでした。公式の紹介は以下の通りです。
「古民家のような、カビというか古い香り」と表現してしまった… 成熟の年数を考えると、あながち間違っていなさそうではあるけど、どうなんでしょうか。
Bicuishe(ビクイシェ)
漬物っぽい香りがします。飲んでみると旨みを感じますし、香りもメスカル的でおいしいです。アルコール的なピリッとした感じもありますが、それを超えるおいしさがありますね。エスパディンと飲み比べると、こちらの方が旨みが感じられて好みでした。
食用として知られる、ということと漬物というところに何か共通点はありそ… 無いですね。ただ、旨みを感じたのはその糖度ゆえのことなのでしょうか。
Arroqueno(アロケーニョ)
エスパディンに近い印象ですが、もっと動物っぽいスモーキーな香り、おいしそうな香りを感じました。飲んでみてもエスパディンに近く、ピリッとした感覚も似ています。ただ、旨味が勝る印象でしょうか。バランスを考えるとエスパディンだけど、飲み比べをしていると甲乙つけがたかったです。
糖度が高い=おいしそうな香りにつながったのでしょうか。ただ、そこまで甘さは感じなかったんですよね。なかなか難しいです。
Madrecuishe(マドレクイシェ)
香りは弱いでしょうか。ただ、他とはだいぶ異なる海鮮的な燻製のような香りを感じます。飲んでみると印象としてはライトですが、旨みを感じます。ホコリの様な香りもなくて、テキーラに近いのかもと思ったり… エスパディンと飲み比べると、独特のクセがあるけど、それが結構好みでした。
公式の説明が何かを言っているようで言っていない気もしますが、まあ、美味しかったので…
Tobala(トバラ)
香りはエスパディンよりもおだやかに感じます。アルコール感はありますが、嫌な感じはなく、ちょっと乳酸菌のような香りも感じました。そして、それが美味しいんですよね。飲んだ後にふわっと広がる香りもあり、エスパディンよりも好みでした。
アロマチックな揮発成分=飲んだ後の香りにつながるのでしょうか。
気に入ったのはビクイシェとマドレクイシェ
6種類のラ・メディダを飲み比べてみて、香りと旨み、飲んだ時のひっかかりの無さ、という点で好みだったのは、ビクイシェとマドレクイシェでした。ということで、そのふたつで決勝戦的飲み比べをしてみました。
マドレクイシェは漬物的な香り、ビクイシェはスパイシーな香りを感じます。旨みは圧倒的にマドレクイシェの方が強く、口に含んですぐにわかる特徴がいいですね。ということで、6つのマゲイの中で、もっとも好みだったのはマドレクイシェでした。
ちなみに、メキシコでとっても変態的なメスカルを買って来たんですが(まだ飲んでない…)、よく見てみるとマドレイクシェでした! やった!
って事で変態メスカル買ってきたし、抱っこもさせていただきました! pic.twitter.com/RQgSUotlfI
— タカバシ (@draftbeerman) May 2, 2022
ちなみに、このふたつのメスカル、データを見てみると、内容がほぼ同じだったんですよね。
「あれ? 記載ミスかな?」と思い、インポーターさんに問い合わせをしてみたところ、丁寧なご回答をいただきました。
このように、アガヴェにはいわゆる学名上は区別されていない「亜種」のようなものが多々ございます。しかしながら、見た目にもそれぞれの違いがあり(ものによっては現地の専門家でないと見分けられない場合もあります)、味や香りも共通点がある場合もあるものの、基本的には異なって参ります。
ということで、学名では同じアガベだけど、異なるマゲイを使ったメスカルということでした。アガベとマゲイの関係性がわかってないと混乱しますね。
そして、他のメスカルも見てみたら…
だいたいアントニオさんが造ってました。Gracias! Antonio!
ということで、LA MEDIDA(ラ メディダ)のメスカルをいろいろと飲み比べてみましたが、このロットに関しての自分の好みはわかったものの、結局は飲んでみるまでわからないんじゃないか、という…
メスカルはクラフトビール以上に深い迷宮なのかもしれないし、今回はその片鱗を味わったぜ… そして、IPAのように、メスカルにハマりつつある自分がいます。
関連リンク
ラ メディダ(日本語公式ページ)