どうも、麦酒男です。
オリオンビールがリニューアルしました。
一般的に言われるオリオンビールは、「オリオン ドラフト」という商品だったんですが、それが「オリオン ザ・ドラフト」として生まれ変わりました。「オリオン ドラフト」のリニューアルは僕が沖縄に移住してから7年の間に3度くらい行われてきました。
クラフトビールブームのカウンターなのか、どんどんライトにドライになっていき、旨みが薄くなっていった印象で、個人的にはどちらかというと好みではない方向に進んできました。
が、今回の「オリオン ザ・ドラフト」はクリアな飲み口、かつ旨みもあって美味しいビールになっていると思いますし、このリニューアルは歓迎です。
実は先日いただいた「謎のビール」の正体が「オリオン ザ・ドラフト」だった、ということで、すでに「オリオン ドラフト」との飲み比べで新オリオンビールがとても好みで、美味しいということはわかっています。
ただし、「沖縄クラフト」は…
さて、今回のリニューアルで大きく変わったのは味だけではありません。ビールのキャッチコピーも変わりました。以前は「Okinawan Original」だったものが「Okinawa’s Craft」に変わっています。ニュースリリースなどでも「クラフト」というワードを使っています。個人的にはこれが誰も得をしない、むしろ損をする売り出し方だと思っています。
オリジナルというのは揺るがないものだと思いますが、クラフトって最近出てきた物差しのような気がして、そこに乗り換える感じがとてもダサく感じるんですよねぇ。
そもそも「クラフト」って?
英語のCraftって主に「手作りの工芸品」を意味しますし、クラフトビールに関しては(ちょっと前のアメリカ Brewers Associationの定義では)「Small、Independent、Traditional」とされていました。日本ではクラフトビールの定義はありませんが、2014年からキリンビールが大々的に使い始めて、結局なんなのかわからなくなってきました。
オリオンビールとクラフトビール
まずオリオンビールは国内5位のブルワリーで、日本で“大手5社”と呼ばれる中にいます。何十万という株式を発行して、アサヒビールとも業務提携関係にあります。決して Small でも Independent でもなく、Major なブルワリーです。
そのオリオンビールが「クラフト」というワードを使いはじめたのは2014年秋、オリオンのクラフトビール「Orion Craft Brewing Project Ryukyu Pale Ale」をリリースした時だと記憶しています。
Orion Craft Brewing Project は2017年の第5弾 Ryukyu Saison までリリースされましたが、その後消え去り、2019年には “オリオン初のプレミアムクラフトビール” として75BEER をリリースします。
オリオンビールによる Orion Craft Brewing Project でのクラフトの定義は “世界にあるいろいろなビアスタイル” だったように思います。そして、75BEER になるとその定義を “街と職人” にシフトしたように思えます。
で、「オリオン ザ・ドラフト」ですが、伊江島の大麦を使い、やんばるの水で仕込むということを打ち出していることから、その定義は “地元の素材を使う” ことになったようです。
社長や体制が変わったオリオンビールですが、言葉の定義を変えすぎではないでしょうか。本来のクラフトという意味からも外れ、自分たちが定義してきたものも覆し、クラフトというキーワードを安易に使っている印象です。そもそも2020年になって、まだ「クラフトはナウいワード」だと思っているというセンスに危機感を覚えます。
逆に地ビールブームから20年以上経った今、地元の素材を使って作り出すビールとして『シン・地ビール』的なものを謳えばかっこよかったし、オリオンビールがその先頭に立つことができたのに、もったいないなぁ、と思います。
ビールは美味しくなったのに、ビール好きに鼻で笑われるような、箸にも棒にもかからない見え方って本当にもったいないです。まあ、こういう事は実はあまり関係もなく、オリオンビールは売れるんだとは思いますけども…
話は変わりますが、今回オリオンビールのパッケージにも登場している伊江島。本当にいいところなので興味がある方はぜひ行ってみてください。沖縄本島北部の港からフェリーに乗って30分で行ける離島で、海産物はもちろん、小麦や伊江牛、ラム(お酒)も美味しい素敵な島ですよ。伊江島で飲むオリオン ザ・ドラフトは美味しいだろうなぁ。
関連リンク
オリオン ザ・ドラフト(公式ページ)